作品解説・人魚伝説
 
 
 
墨と筆だけで描いた作品・第三弾アップ

数年前より、全国各地に伝わる伝説を調べて見てまわっていますが、
今回は、 新潟県上越市の鵜の浜温泉に伝わる、人魚伝説をモチーフにした作品です。波
 
小川未明の作品、「赤いろうそくと人魚」のヒントにもなった悲恋の伝説。
その伝説の内容は…鵜の浜温泉を説明するホームページなどにも多数掲載されているのですが、 私風に要約して説明致しますスノボ
 
昔々、本州の新潟・旧大潟町の海岸の小高い丘に、住吉神社という神社があり、
そこからは佐渡の島がはるか彼方に見えたそう。波
 
住吉の神というのは、海神さまですね。 海上の安全を願って、ここに神社が建てられたのでしょうか。
 
その神社の南側には、常夜灯(じょうやとう。今でいう街灯や、海では灯台の役目を果たしたという、一晩中ともしておく明かり。)が並んでいて、雨の日も雪の夜も、欠く事なく、 ある地元の若者によって、灯されていました。メラメラ
 
その若者は、気だての優しい男性で、母親と二人暮らし。 婚約者の娘もいました。  
その頃、常夜灯を目印として、毎晩佐渡の島から通ってくる不思議な女性がいました。
佐渡といえば、かの有名なタライの小舟で毎晩せっせとプカプカと…!!! (ローカルなネタで面白いですし、凄いですね。)

地元の若者は、ふとした事からこの佐渡の女性と知り合い、 婚約者の娘よりも、この佐渡の女性と毎晩デートするようになったのです。ラブラブ
毎晩うきうきと家を空ける息子を、母親は、 「お前は毎晩留守にするが、今夜くらい家にいて、婚約者の娘と話してやったらどうなの?」 と引きとめました。
気が弱い若者は、そこで説得されてしまい、その日は、常夜灯に灯りをともす仕事を、 休んでしまったのです…うお座  
 
「あかりを灯さなかったら、まあ、今夜は通ってこないだろう…」 位に考えていたのでしょうか。 そして多分、その婚約者の娘と過ごしたのでしょう。
その翌朝のこと。神社の崖下は大騒ぎ。 海岸に、白蝋のような女の死体が上がったのです。
この騒ぎを聞いた若者は、まさか…!!と思って 飛び急いで来て見れば、まさしくそれは佐渡の女性でした。 女性は、海に出たのは良いが、目印の灯りが見えない為に、 小舟は何かの拍子に転覆して、泳ごうにもあてもなく、溺れてしまったのでしょう。
 
「一晩約束を破ったばかりにこの始末、ああ、俺は何と罪深いことをしてしまったのだろうか。」と、若者は深く後悔しました。 しかし、後悔は先立たず、この上は冥土でお詫びをしようと、ついに若者は、 佐渡の女性の後を追って海へ身を投げてしまいました。
村の人たちはこの若い哀れな恋人達二人をかわいそうに思い、
常夜灯の近くに二人を埋葬して、比翼塚(ひよくづか)をつくり、 地蔵尊像を安置して、
弔ってやりました。
心から思い合っている、仲のむつまじい恋人・夫婦を昔から「比翼の鳥」(ひよくのとり)と 例えて呼んだりいたしますが、 比翼塚、というのは愛し合って死んだ男女を一緒に葬ったお墓の事です。
(ちなみに「比翼の鳥」というのは、つがいになった鳥がお互い外側に向けた  片方ずつの翼しか持っておらず、二匹常によりそっていなければ飛べない鳥の事です。)  
そしていつしか比翼塚のことを“人魚塚”と呼ぶようになった…というお話。うお座  
 
 
佐渡から通ってくる一途なその女性を、人魚に例えたのでしょうあせる
女性の身で、夜に、はるか遠くの海から通ってくるなんて、 本当に一途にその若者を思っていたのでしょうね(T_T) 若者が灯すその灯りを目当てに、毎晩一生懸命通っていて、 そして、その灯りが灯されていない真っ暗な夜でも、若者に会いたい一心で、 危険もかえりみずに海に乗り出したのでしょう。
この佐渡の女性がもし私でしたら、 執念だけで韋駄天のようなスピードで日本海を横断し、
 「☆海から上がって来た怪女・村の若者を報復フルボッコリンチ伝説☆」として 全国でも有数のオカルトスポットとしてその名をはせさせて………いや、 そんなアホな話は置いておいてですね
о(ж>▽<)y ☆(笑)  
 
 
絵に描いたのは、もちろんその人魚に例えられた佐渡の女性。
絵に挿入した和歌は、万葉集より選びました、笠郎女、という 奈良時代の女性が詠んだ歌です。
 
思ふにし 死(しに)するものに あらませば
千遍(ちたび)そわれは 死に返(かへ)らまし  
 
~もし恋の物思いで死ねるものであるならば、  
わたくしは、千度も死を繰り返す事でしょう~
 
 
 「うおおおおおおお~~~~~振り向いてくれなきゃ自殺してやるぜええええええ~~~」 という歌ではありません(笑)
 
明治時代の文豪・二葉亭四迷が、「I Love You」という英文小説の中の女性のセリフを、 日本語に訳す時に、 『(当時の)日本人は、そんな愛の告白はしない、ましてや女性は、 そんなにストレートに愛情表現しない』と悩み、その結果、
「私は、死んでも良い」と和訳した事は、プチ有名な話ですが、 この歌の場合も、それと似たような感じですね。
 
あの方への恋の物思いで死ねるものなら、私は千度も死んでしまうでしょう、
その位、あの方を思って、悩んで、苦しんでいます、
すきすきすきすきあいらぶゆーーーーーーーラブラブふりむいてダーリンきゃーいきゃいラブラブという とても純粋な、とても綺麗な恋の歌ですキラキラ
(←本当か…?(笑)        
 
 
つれない恋人への片思いを詠った歌で、その歌の詠まれた背景は、
この人魚伝説の状況とは違ったものですが、
 
思いがむくわれるかどうかも分からないのに、一途に無垢に相手をひたすら思い続けている、 という純粋な所、
また、「死んでも良い」という内容の歌と、実際に命を落としてしまった、
という悲しい部分が、この歌と物語に共通しているように思われましたので、
選んで挿入致しました。                            
 
新潟県・鵜の浜温泉、 佐渡を望む海岸には、人魚塚伝説の記念碑が建てられ、 人魚の銅像などもありまして、 大変ロマンチックな場所ですので、是非一度は、訪れてみて下さいねキラキラ
黒髪和製人魚姫のお話でございましたアップ