作品解説・かきつばた
           
    

モチーフは実在した平安時代の貴公子・在原業平(ありわらのなりひら)。

 

光源氏のモデルになったとされている人物の一人で、

「六歌仙」、「三十六歌仙」という、平安初期の和歌上手い集団6人、36人グループに

それぞれ属している、容姿端麗・文武両道のエリートなイケメン。

伊勢物語の主人公です。

阿保親王の御子で、

「在原」というのは、「源氏」「平氏」と同じく、皇族から臣に下る時にたまわった姓ですね。

生涯をずっと武官でいた人で、絵画などで描かれる場合は、

「巻纓」(けんえい)という、うしろの纓がくるくると巻いている武官専用の冠に、弓と矢を身につけた

武官の正装姿で描かれる事が多いです。

背景に描いたのは、杜若(かきつばた)の花と、都鳥。

伊勢物語は、業平を中心とした短編小説集で、第九段の「東下り」というタイトルの章に

この花と鳥が登場します。

業平が多少失意の時に、京にいるのも辛くなり、東方へ友人2人ほどと旅に出ます。

(もちろん、逸話と思われます)

三河の国(現在の愛知県東部)にたどり着き、馬からおりて休憩している時に、

近くにとても綺麗なかきつばたの花が咲いているのを見て、友人の一人が言います。

「「かきつばた」という5文字を各句の上に置いて、旅を題材にした心の歌を詠んでみてくれ」。

そこで業平は、

 

らころも つつなれにし ましあれば るばる来ぬる をしぞ思う」

と、いかにも上手く読んで見せました。

(古語では、「゛」がついた音でも、つかない音でも、同じ文字表記)

慣れ親しんだ妻が都にいるので、はるばる遠くまで来てしまった旅がとてもわびしく思われる、

というような意味ですね。

言葉遊びのようですが、和歌は当時は重要な教養のひとつで、

和歌が上手く詠めるという事は、立派な教養を身につけた優れた人物である事の証明でした。

それを聞いて友人達は、感極まって涙を流したという話です汗

これが、「かきつばた」の花のお話。

少し場面が変わり、旅はどんどん進み、とうとう一行は、あの東京・隅田川までやって参りました波

そこで川をゆく舟に乗っていると、白くてくちばしと足の赤い、見たこともない鳥が、

水の上に浮かびながら、魚を食べているのを目撃ドンッ

生まれ育った京では見ない鳥で、

「なにあれ?」「なにあの鳥?」「なんやねん」と皆がなっている所、舟の渡し守が答えてくれます。

「お客さん、知らないの~?あれが都鳥だよ!!!」

都でもないのに、そこを飛んでいる鳥に都という名前がついている!?

この辺りに住む人達は、都にはあんな鳥が住んでいるのかと思っているのか!?

そんな、都の事を知らない人々しかいない、はるか遠くまで来てしまったのかと、

一同はまたしみじみします雨

ちなみに、この「都鳥」、どんな鳥かと言うと、この鳥こそが有名な「ゆりかもめ」でございますキラキラ

東京都の鳥であり、電車の名前ともなっていますが、

元々の由来は、この在原業平主人公の伊勢物語にあったのですね。

ちなみに現在のスカイツリー最寄り駅の「とうきょうスカイツリー駅」、

改名前は「業平橋駅」といいました。もちろん業平さんからとったものです。

改名されて寂しく思っていましたが、スカイツリー内部の4つのエレベーターのうちの一つの装飾に、

「都鳥」がちゃんと描かれています。

スカイツリーは、古きを尊重している、素敵な建造物だったのですね晴れ(笑)

これから行かれる方には、どうか注目して欲しいものです星

今ではこの隅田川流れる東京こそが、「都」となりました…

「ゆりかもめ」とは、そんな趣深いものだったのです。

 

こちらが背景のもう一つ、「都鳥」の話です。

実は現代社会にも深く関係していた、在原業平ビックリマーク

心を込めて描きましたアップ