作品解説・安徳天皇と草薙の剣

安徳天皇というのは、父が高倉天皇、母が平徳子の、

平氏の血をつぐ皇子。幼くして即位します。

彼の即位により、平清盛が政治的実権を握ります。

清盛の行おうとした摂関政治の象徴ですね。

しかしその後、ご存知の通り清盛の死後、平家は没落・衰退の一途をたどり、

海上へと逃亡、

壇ノ浦の戦いにて敗戦、平家は滅亡、平家側の沢山の人間が海へと身を投げました。

この時に安徳天皇さんは、彼の祖母・二位尼に抱かれて、入水します。

二位尼は、幼くて状況もよく飲み込めていないであろう彼に、

「浪の下にも都の候ぞ」(波の下にも、都がございますよ)と言い、入水したと「平家物語」には

書かれております。

その際に、二位尼が身につけて飛び込んだとされるものが、『三種の神器』。

これは、天皇の位についたものだけが所持を許される、古代から伝わる、

鏡・勾玉・剣の3つの宝珠です。

現在にも神社の祭壇をよく見ますと、左右に分かれて鏡と勾玉と、袋に包まれた剣が下げられております。

 

この壇ノ浦の戦いで沈められた3つのうち、鏡と勾玉はすぐに拾い上げられましたが、

草薙の剣だけはこのまま見つからず、水没したそう。波

(現在はこの後復元されたものが伝わっていると思われます)

この油絵に描いたものは、海底でその「草薙の剣」を抱える、幼い安徳天皇。

背景に描いたものは、まさに波の下にあったであろう都です。

敏腕の政治家・清盛率いる、かつて強大な権力を誇った平家…

清盛は、それまでの時代の多くの貴族がそうして来たように、後宮政治に乗り出し、

天皇家と結びつき、身内の女性に天皇の子を産ませ、その後ろ楯となる事で、

天下を支配しようとしました。

しかし世の中の流れはもう貴族の世を受け付けず、新しい支配を必要としていました。

貴族のようにならんとした、貴族ではない武家の平家の、悲しい結末です。

その時は「これが武家社会である!」なんていう概念は、当の本人達は持っていなかったでしょうが、

源氏は始めから、武家として独立した政治を目指し、行います。

どんなに敏腕な政治家でも、どんな権力を持った貴族でも、どんなに強大な武将でも、

時代の流れ、勢いというものを見誤ったものは、自ら滅びるのです。

history is interesting アップビックリマーク